長野県岡谷市にある岡谷蚕糸博物館。
糸都・岡谷の製糸技術の変遷や、実際に稼働している製糸工場の操糸の様子がつぶさに見られ、
学ぶことのできる貴重な場所です。
さる10月、こちらで見学会ツアーを開催しました。
館内に入ってすぐの所に展示してある、フランス式操糸器。
明治の頃、富岡製糸場で使われていたものです。
左フランス式操糸器と、右は長野で生まれた諏訪式操糸器。
解説にあたってくださったのは、学芸員の林さんです。
綿密な考証やご自身の実証から生まれる解説は、とても具体的で、細部の作り、鍋の形の変遷、道具の位置など、実際にその時代を生きて糸をとってきたかのようです。
参加者さんからの質問も白熱し、このあたりをお昼近くまで行ったり来たり、ずっと往復して中々先に進めないほどヒートしました。
この博物館展示の何がすばらしいということは、蚕絲館さんのブログにすでに紹介されておりますので、そちらもご覧ください。
近代的な操糸器以前の糸取りについても、身振り手振りをまじえ、具体的に解説してくれたので、その道具を使っていた人が目の前に見えるようでした。
そして・・・
差し棒の先に黄色い繭。
館長さんの差し棒の先には小石丸がついていました。
岡谷蚕糸博物館さんのみどころのひとつ?
昨年の反省から(昨年は白熱のあまり予約していたうなぎ屋に遅刻の電話を3回も入れた)今回は見学会の途中でお昼休憩、館内の一室をお借りしてみんなで釜めしをいただきました。
参加されたTさんがおみやげに買った諏訪湖の鮒をわけてくれ、独自の進化をとげております。
バージョンアップおぎのや諏訪湖篇です。
午後は館内にある宮坂製糸さんの見学です。
左は諏訪式操糸器の、右は上州座繰り器の現代版です。
自動操糸機の前では、糸をつける作業がどんなに効率的になったかを体感させてもらえました。
このように各種の操糸器・自動操糸機が実際に製糸の現場で稼働している様子、仕組みや構造を詳しい解説付きで見学できるのが、岡谷蚕糸博物館の大きな魅力です。
簡素な糸取りの道具からフランス式の操糸器、独自の発展を遂げる諏訪式操糸器、効率化をめざした自動操糸機への変遷、そこに至る先人の知恵と試行錯誤、エネルギー。
それは鎖国からあけた日本人が、江戸から明治、大正昭和の激流を、必死で生きて世界に抜きんでようとしてきた歴史でもあり、スリリングでゾクゾクするほどでした。
このような熱い見学会になりえたのは、岡谷蚕糸博物館さん、館長の高林さんのご協力、学芸員の林さんの詳細な解説があればこそです。
ご参加のみなさん、関係者のみなさん、本当にありがとうございました。
来年もこのような見学会を企画したいと思っております。
養蚕ワークショップの打ち上げに企画しているものですが、参加されていない方も大歓迎です。
ものつくりが好きな方、糸の秘密に迫りたい方、技術革新に興味がある方、歴史が好きな方、たくさんの方のご参加、お待ちしております^^
コメントをお書きください