11/24、その日、私はちょっとくたびれてしまっていました。
『今日は何もしないぞ』と決めて、ダラダラと『進撃の巨人』を見ていました。
午後に友人が来て、その時、ごんたが玄関から出てゆきました。
いつも暗くなる前には帰ってくるので、気にしませんでした。
友人が帰ると、またダラダラと『進撃の巨人』を見ました。
日が傾きかけて、ごんたを呼びに行かなければと思いましたが、進撃の巨人の続きが気になったのでした。
いい加減、暗くなってきたので、外に出てごんたを呼びました。
怖がりで、人恋しい子なので、いつも遠くには行かず、
呼べばいつでも「ンニャーン』と言って出てくるのです。
ですが、来ない。
『ごんさーーーん』
『ごんさーーーーん』
『ごんさーーーーーーん』
すっかり暗くなってしまいました。
その夜は、帰りませんでした。
夫は、『2-3日で帰るよ』と、言っていました。
子供の頃に家で飼っていた猫も、2−3日帰らないこともよくありました。
でも、子供の頃に家にいた猫は
『餌はもらっても、俺は自由を愛し、束縛を嫌う』というような、独立心の強いような猫でした。
一方、ごんたは子供の頃に捨てられたようで、
そのトラウマからか、寂しがりで、独りぼっちになることを極端に嫌う子でした。
夜も寝られず、目がさめるたびに窓を開けて
『ごんさーーーーーーん』
『ごんさーーーーーーーーん』
と呼びました。
11/26、動物愛護センター、クリーンセンター、警察に連絡しました。
動物愛護センターは、保護されている可能性があるため。
クリーンセンターは、事故死の猫を回収することがあるため。
警察は、『落し物』として届けられることがあるためです。
おまじないにも頼りました。
夜になると、ごんたがいない事に耐えられなくて、こんな感じでのたうちまわって悲しみました。
うあああああ、ごんたーーーーーー
と泣くと、どうかでウニャアアアンと鳴いているような気がしましたが、
すでに妄想の領域に入っていたかもしれません。
SNSでのアップは、近所の人は見ていないので意味ないかもしれないと思いましたが、気持ちが収まらず、
アップしたところ、たくさんの応援メッセージをいただき、心から慰められました。爆涙。
呼べば、いつでも出てくる子なのに、こんなに呼んでも出てこないのは、
・ずっと遠くに行っている
・事故などにあって声が出せない状況にある
・誰かに飼われている
の、どれかだろうと思われました。
ふと、こんにゃく作業に来ていた軽トラの荷台に乗り込んでしまったのではないかという気もしました。
近所のおばあさんも、一緒にチラシを持って泣きながら探してくれました。
お孫さんまで動員してくれました。
友人たちも、チラシを配ってくれたり、夫婦で愛犬を連れて捜索してくれたり、独自でチラシを作って捜索と聞き込みをしてくれたり。。。
『きっと近くにはいない』と思ったので、
私も自転車で捜索範囲を1kmまで広げて、ずっと呼び続けました。
でも、10日以上もずっとこんな風に探していて、どんなに呼んでも、耳をすませても、返事がない。
声を上げようとすると、もう涙が溢れてしようがありませんでした。
猫なんて飼わないと言っていたのに、こんなになっちゃうとは思わなかった。。。
それでも、日はめぐり、日々の仕事はめぐります。
12/7、ごんたがいなくなって2週間。
お客さんに頼まれたものが出来上がったので、郵便局に発送に行くことにしました。
いつも荷物を出している郵便局は、途中道路工事をしていたのと、買い物する用事があったので、4kmほど離れた富岡の郵便局に出しに行くことにしました。
しかし梱包資材が切れていたので、午前中は梱包資材を買いに行って、午後に発送することにしました。
依頼してくださったお客さんも、ごんたがいないことを知っていたので、
『こちらから祈っています! 祈りは効きますよ! フセさん!』と力強いメッセージをくださいました。
ううう、泣きながら郵便局について、駐車場がいっぱいだったので、少し待って、空いたところに入って、
車を降りてドアを閉めたら、
『ごんさん!』
ン゛ニ゛ャア!!
『ごんさん!』
ン゛ニ゛ャア!
ン゛ニ゛ャア!!
ン゛ニ゛ャア!!!
フガッ、フグアアアッ(フセの泣き声)。
あなた、なんでこんなところにいるのよーーーーーー!!
抱き上げると、痩せこけて子猫のように軽くなっていて、獣くさく目つきも野性的になり、鳴きすぎたのか声も枯れていて。。。
一瞬、宇宙人にさらわれて違う猫をつかまされたのかと思いました。
車の中で、ずっと興奮状態で尻尾をタヌキのように膨らませ、
ン゛ニ゛ャア!
ン゛ニ゛ャア!!
ン゛ニ゛ャア!!!
と鳴き叫びながら、ずっと虚空をフミフミするのでした。
私も、フグアアアッフグアアアアッ、と泣き叫びながら、一町八町の坂をアクセルを踏んで駆け上り、トンカラに一緒に帰ったのでした。
夫が帰ってくると、軽トラの音で鳴き叫びました。
興奮状態で、やはり虚空をフミフミするごんさん。
失踪地点から、人間の道で4.1kmの地点で発見です。
まさかそんなところにいるとは、思いもしなかった。
車がこわいので、車通りの多い道には近づかない子でした。
直線距離でも、山を二つ越え川を越え、大きなバイパスを越えて行けるとは思えません。
おそらく、そこにあった軽トラの荷台にうっかり乗り込んでいってしまったものと思われます。
帰ってきてひと月近く経ち、心も落ち着いてだいぶリラックスして寝られるようになったごんさん。
『首輪はかわいそうだから』
『外に出たがっているのに、出してあげないのはかわいそうだから』と、
かえって、もっとかわいそうな目にあわせてしまったことを猛反省して、名札つきの首輪を作りました。
今回、FBにつらい気持ちをこぼしたところ、本当にたくさんの方が心配して祈ってくださいました。
捜索を手伝ってくれた友人、チラシを快く貼ってくれた方々、捜索中に自分のことのように心配してお話を聞いてくれたみなさん、
奇跡のように再会できたのは、そうした方々の思いが出会わせてくれたように感じます。
トンカラを始めなければ、出会えなかった方々。
ごんたの行方不明を通じて、本当にたくさんの方々に支えられていることに改めて気付かされました。
おかげさまで、暖かな気持ちで年を越すことができます。
この一年、いろんなことがありましたが、
来たる年も、大変な事があっても、そこから何かに気づく事が出来たらいいなと思います。
みなさまにとりましても、来たる年が実り多き年でありますように。