これは生皮苧(キビソ)糸。
キビソは繭の周りの部分の繊維。
生糸の製糸では取り除いてしまいますが、
これはこれで精練すると
ふわふわとした優しい風合いになります。
この日機織りを受講された方が蚕絲館さんで買いもとめ、
自力で精練して染めたものです。
染織は今回が生まれて初めてだそう。
この一週間トンカラを拠点に、草木屋さんの染め講習に参加したり、
上田や岡谷や高山社に糸や織りの勉強に行ったり、
撚糸の教室に参加したり、
それと並行して手探りながら、
蚕絲館さんの助言を基に
ゴワゴワのキビソをトンカラの施設を使って精練してみたり、
草木屋さんの講習を思い出しながら
ブナの木で染めてみたり。
とにかくひたむきで熱心。
そうして自力で用意したキビソの糸を使い、
この日の坂田先生の機織り教室で横糸に打ち込みます。
ブナで染めたキビソ糸はうっすらとした赤みを帯びてやわらかな色合い。
午後は繭をやわらかくして広げて伸ばした『真綿』から
繊維を引き出し糸を作る、紬糸作り。
紬糸作りは、機織り教室の番外編的な講習ですが、
ご希望があればレクチャーします。
ちなみに次回の機織り教室は8/20(日)でーす。
糸をひたすら引き出して、縒る、の繰り返し。
今回は体験のみですが、
1着分の糸を作るには膨大な時間がかかります。
2時間かけ、これだけできました。
キビソの織物も、ふさを仕上げて出来上がり。
で、できました〜〜。。。
Yさんを見ながら、この一週間、わたしも自分のことを思い出していました。
色んな方に『なんで?』『どうして?』と質問攻めにし、
変なことをたくさん聞いていたと思いますが、
どの方も快く自分の知識を与えてくれたり、
『これが知りたい・ここへ行きたい・この人に会ってみたい』ということに
惜しみない協力をしてくれました。
わたし自身はあまり何も持っていませんが、
トンカラは人と人が出会う駅、
ひとの歴史と歴史が混じり合って
和音が広がってゆくような市(いち)のような所でありたいな、
と思いました。
Yさんは、これから自分の歴史を、どう織り上げてゆくでしょう。
きっとたくさんのひとやものが、助けてくれる気がします。
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